「やってみた」第一弾
先週の小欄に、「行政書士として人にお勧めすることは、自分でもやってみなきゃ」と書きました。というわけで、さっそく実行! 今回挑戦したのは、なかなか家族同士(特に親子間)で話しづらい「相続」の話題を、すんなりと始めることができる(かもしれない)「きっかけシート」というアイテムを、私の母に試してみました。さて、肩ひじ張らずに、我が家(実家)の財産の話を掘り下げ、お互いの気持ちを正直に語り合うことができたでしょうか?
「きっかけシート」は、①一番好きな食べ物は?②今、一番行きたいところは?--など、趣味や興味を問う10の質問が並びます。このシートの質問に、例えば子どもが答えるときは、自分のことではなく、「父ならこう答えるだろうな」と、問答する相手を想像しながら答えるのです。親が答えるときは、子どものことを想像して…という具合。ちょっとしたクイズです。
私は、母を思い浮かべて答えました。一番目の質問。「一番好きな食べ物は?」に対して、私は「寿司」と答えました。「正解」でした! このように、10問全部答えたら、相手と答え合わせをします。そのとき、ああでもない、こうでもない、と日ごろあまりしない話題の中から、意外な一面が垣間見えたり、今まで知らなかったことに気づかされたりして、けっこう盛り上がるのです。
私が最も驚いたのは、「子どものころなりたかったもの」という質問に、母が「踊ることが好きだったから、宝塚にあこがれていた」と答えたことでした。そんなことまったく聞いたことありませんでした。当然ですが、自分の親にも青春時代なるものがあるわけで、そのころの話なんて、日常会話でめったに出てきませんよね。
私は10問中、なんと4問も(!)正解しました。中には、答えられずに空欄もあったし、かなり適当に答えた個所もあったので、自分で言うのもなんですが、大健闘だったと思います(笑) そして、そんな正解数よりももっと重要なことがありました。
それは、このシートでなごやかな雰囲気が生まれたからだと思いますが、我が家の相続について、1時間以上話をすることができました。財産の歴史的なこと、そして、この先どう引き継いでいってほしいかということ。これまでも、少しずつはしていましたが、今回はより深い話ができた気がします。母もこの「きっかけシート」について「なかなかいいね」とほめてくれました。
お盆が近づいてきました。家族が集まるいい機会です。でも、久しぶりに集まっていきなり相続の話は切り出しにくいものです。そこで、この「きっかけシート」のような“クッション”を一つはさんで、場をなごませるとスムーズに大事な話が始められるのではないでしょうか。ぜひお試しください。