営業の極意
行政書士を開業する前まで、「営業」というものをしたことがありませんでした(たぶん)。なので、本を読んだり、人から話を聞いたりして、営業とは何ぞや、ということについて考え、この数カ月間、実行してきたつもりです。
中でも、「自営とは、カネを作ることではない。人の輪を作ることだ」(山本浩司氏)や「お金を稼ぐということは、人の気持ちを動かすことだ」(今井孝氏)などの言葉が胸に残っています。
しかし、最もインパクトがあったのは、自分がお会いした方の中で、上記の言葉を消化して自分のものにし、行動に移しているのを目の当たりにしたことです。
その方々に共通しているのは、「反応が速い」「骨惜しみしない」の2点です。
お一人は、同じ行政書士の方ですが、関東に事務所を構えておられて、講演で全国飛び回っていらっしゃるような、著名な方です。先日、熊本に講演に来られたので、私も見に行きました。お話は示唆に富んでいるうえにとても面白く、所定の時間があっという間に過ぎました。
講演終了後は、お忙しいからでしょう、足早に会場を後にされました。感動した私は、その日の感想をお伝えしたくて、その方のホームページにメッセージを書き込みました。すると、翌々日、返事がきました。メールで? 否、はがきで、です。
しかも、ペンではなく、筆を使われていて、やや崩した独特の字体で、「ご縁に感謝」とありました。全国でも著名な方が、私のような、一介の行政書士に対して、しかも、ただ感想をホームページに書き込んだだけなのに、わざわざ、はがきで返事、ですよ?
こんなスペシャルなはがきをいただいて喜ばないわけないじゃないですか? 「どういうことをしたら、お会いした人(お客様)に喜んでもらえるか」を考え抜かれているのだと思います。
このはがきは、今も自分の事務所に飾っています。それは、自分への戒め、というか、この感動を日々意識するために。
もう一人は、私の家族信託の師匠です。以前このブログに書きましたが、6月に東京で研修を受け、私は「家族信託専門士」に認定されました。彼は、そのときの先生であり、その研修を主催する団体の代表です。家族信託の日本の第一人者で、家族信託を日本中に広めようと日夜奔走されています。
その東京研修の時の話です。研修を終えて、専門士に無事認定され、その日の夜、大変お世話になった先生に、メールでお礼を送ろうとしていたとき…。1通のメールが届きました。送り主は…何と、その先生からではありませんか? 研修が終わって、まだ1時間くらい?だというのに。「家族信託で稼げる専門家になってください」と書かれていました。
「お世話になったのはこっちなのに!」と恐縮しながら、急いでお礼メールを返しました。
「反応が速い」「骨惜しみしない」。された方は、きっと喜びます。そして、強烈に、印象に残ります。
この2人の師匠が示した営業の極意を胸に、弟子(わたし)は今日も、まだ見ぬ人に会いに行きます。