家族信託専門士
去る19、20の両日、東京で行われた研修を修了し、「家族信託専門士」に認定されました。東京、大阪などの大都市圏では、「家族信託」は最近かなり普及してきたと言われていますが、熊本ではまだまだといった状況。では、家族信託とはいったい何なのでしょうか。
一言でいえば、生前にできる、相続財産の管理方法です。
でも、財産管理で、しかも、「信託」と聞くと、信託銀行に財産を預けることなの?とか、投資商品の投資信託などを思い浮かべる方がいらっしゃるかもしれませんが、まったく関係ありません。
家族信託は、そうしたプロに預けるのではなく、文字通り、信頼できる「家族」に、財産を「託す」(預ける)ことなのです。
相続対策というと、遺言を残すのが一般的です。「遺言があれば十分」と言いたいところですが、遺言の効力が発生するのは、それを書かれた方が亡くなった時からです。でも、高齢になると、亡くなるまでの間に、ちょっと心配なことが起きたりしますよね?
認知症、です。国の推計では、2025年に認知症発症者が全国で700万人に達し、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症という時代を迎えます。「認知症になったら、自宅を売って、老人ホームに入るための資金にあてよう」と考えている方がいるかもしれません。でも、認知症のように判断能力が衰えてしまうと、自宅の売買契約を自分で結ぶことができません。
そんなとき、まだお元気なうちに、家族の中のどなたか(例えば長男)と、家族信託契約を結んで、財産の管理を託しておけば、ご本人が認知症になって、財産を処分しなくちゃいけないとなったときに、長男がご本人に代わって売買契約を結ぶことが可能になります。このとき、長男は契約書にハンコを押す権限しかありませんので、売買の結果、手に入れた代金は、すべてご本人の財産として活用されます。
これはあくまで一例ですが、家族信託は、今ある遺言や成年後見といった仕組みでは救えなかったような、老後の財産管理や資産承継の問題を、解決できる新しい手法として注目されているのです。先祖代々受け継いだ財産、さらに、ご自身が汗水流して築き上げた財産を、円満に、そして、末永く、我が子、我が孫に、引き継いでもらいたいですよね? 家族信託を、ぜひそういった対策の選択肢の一つとして、みなさんに知っていただき、ご活用いただきたいと思います。
「家族信託専門士」は、みなさんの「想い」をしっかりくみ取って、さまざまな専門家と協力し、契約書を作り上げるのが仕事です。今後、このブログでも、家族信託について、詳しく、分かりやすく、解説していこうと思います。。